お年寄りは以前にした話を、初めてのように話します。
それが1〜2回なら可愛いものですが、数回にもなると聞いている方も優しくなくなります。
「その話は、何回も聞いたよ。」
と話の腰を追ってしまうこともあります。
という私も、その話を繰り返す方なんですけどね。
では、どうして記憶が定着しないのでしょうか。
脳科学の面から考えてみます。
記憶の鍵 変化
ずっと同じ部屋で、外の雨を投めながら過ごす1日のことは記憶に残りません。
変化がないからです。
同じ雨でも、出かけていた時に急に降られたら、さまざまな記憶がインプットされます。
- 降られた時間
- 雨宿りしたお店
- 居合わせた人
雨とともに関連づけられて記憶が定着します。
多分、お年寄りの1日は、若い頃に比べて変化が少なく、鍵となる出来事が限られてくるのでしょう。
ですから、介護の度合いが大きくなって、寝ている時間が多い人の記憶が曖昧になるのは当然です。
しかし、これは、お年寄りだけの話ではありません。
学生の記憶も同じです。
ずっと部屋に篭りっきりで長時間学習するのと、場所を時々変えて学習するのでは、後者の方が記憶の鍵が増えます。
部屋の明るさであったり、音の変化であったり、人の気配であったり、ちょっとした違いが鍵になります。
しかも、記憶だけでなく、理解まで深まります。
つまり、英単語の綴りだけでなく、使い方まで理解したり、関連させたりできる記憶になるのです。
このことから考えると、我が子に
「勉強にすぐ飽きて、場所を変えるよね!」
と注意して、閉じ込めて勉強させるのは、効率を落とすだけです。
これは、学校の授業も同じです。
ずっと喋りっぱなしで変化のない授業。
誰もが眠くなったことがあると思います。
一本調子の授業しかできない先生は、素人です。
記憶の鍵は変化です。
- 説明をさせる
- グループで考えさせる
- 友達の考えとの相違点を見つけさせる
など変化があれば、記憶の鍵になって思考も深まります。
大人になってのプレゼンでも同じです。
クライアントに記憶を残させるには、この変化が重要です。
記憶を定着させるリズム
1時間勉強するよりも、15分に分けて記憶する方が効率的です。
英会話でもそうでしょうし。ピアノでもそうでしょう。
勉強でも作戦を立てると、分ける方が絶対に良い。
しかも、そこにはリズムがあります。
昔は、エビングハウスの忘却曲線で説明がされていました。
それは、1週間もすると忘れるので、繰り返さなければ定着しないというものでした。
今は、研究が進んで
- まず2日間繰り返す
- 次の1週間後に同じものを繰り返す
- 最後に1月後に繰り返す
というリズムが推奨されています。
一夜漬けが、苦労の割に報われないのは、こういうわけです。
どうせ、努力をするのなら、こういった記憶の鍵やリズムを生かして欲しいものです。
今回はここまでにします。
次回をお楽しみに。
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