大人の責任

大人の責任(26) 記憶の鍵とリズム

お年寄りは以前にした話を、初めてのように話します。

それが1〜2回なら可愛いものですが、数回にもなると聞いている方も優しくなくなります。

「その話は、何回も聞いたよ。」

と話の腰を追ってしまうこともあります。

という私も、その話を繰り返す方なんですけどね。

では、どうして記憶が定着しないのでしょうか。

脳科学の面から考えてみます。

記憶の鍵 変化

ずっと同じ部屋で、外の雨を投めながら過ごす1日のことは記憶に残りません。

変化がないからです。

同じ雨でも、出かけていた時に急に降られたら、さまざまな記憶がインプットされます。

  • 降られた時間
  • 雨宿りしたお店
  • 居合わせた人

雨とともに関連づけられて記憶が定着します。

多分、お年寄りの1日は、若い頃に比べて変化が少なく、鍵となる出来事が限られてくるのでしょう。

ですから、介護の度合いが大きくなって、寝ている時間が多い人の記憶が曖昧になるのは当然です。

しかし、これは、お年寄りだけの話ではありません。

学生の記憶も同じです。

ずっと部屋に篭りっきりで長時間学習するのと、場所を時々変えて学習するのでは、後者の方が記憶の鍵が増えます。

部屋の明るさであったり、音の変化であったり、人の気配であったり、ちょっとした違いが鍵になります。

しかも、記憶だけでなく、理解まで深まります。

つまり、英単語の綴りだけでなく、使い方まで理解したり、関連させたりできる記憶になるのです。

このことから考えると、我が子に

「勉強にすぐ飽きて、場所を変えるよね!」

と注意して、閉じ込めて勉強させるのは、効率を落とすだけです。

これは、学校の授業も同じです。

ずっと喋りっぱなしで変化のない授業。

誰もが眠くなったことがあると思います。

一本調子の授業しかできない先生は、素人です。

記憶の鍵は変化です。

  • 説明をさせる
  • グループで考えさせる
  • 友達の考えとの相違点を見つけさせる

など変化があれば、記憶の鍵になって思考も深まります。

大人になってのプレゼンでも同じです。

クライアントに記憶を残させるには、この変化が重要です。

記憶を定着させるリズム

1時間勉強するよりも、15分に分けて記憶する方が効率的です。

英会話でもそうでしょうし。ピアノでもそうでしょう。

勉強でも作戦を立てると、分ける方が絶対に良い。

しかも、そこにはリズムがあります。

昔は、エビングハウスの忘却曲線で説明がされていました。

それは、1週間もすると忘れるので、繰り返さなければ定着しないというものでした。

今は、研究が進んで

  1. まず2日間繰り返す
  2. 次の1週間後に同じものを繰り返す
  3. 最後に1月後に繰り返す

というリズムが推奨されています。

一夜漬けが、苦労の割に報われないのは、こういうわけです。

どうせ、努力をするのなら、こういった記憶の鍵やリズムを生かして欲しいものです。

 

今回はここまでにします。

次回をお楽しみに。

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