鼻の癌について

癌を生きる(17) 時間があるから

1日の治療時間は、待ち時間を含めても1時間もあれば終わりますから、残りの時間の過ごし方が、治療生活の鍵になります。

これは、ピアノのレッスンと同じかも知れません。

レッスン日は、あくまでもそれまでの練習の成果を見てもらうだけで、それまでが大切です。

治療も、診察の時間だけでなく、そこに至るまでの時間の方が大切です。

診察の時だけ、神妙にしていても、病院を離れたところで暴飲暴食をしたり、全く運動をしなかったり、精神が安定していなかったら、治癒は遠ざかる気がします。

苦手な3Dパズルに挑戦

小学生の頃、何よりも苦手だったのが、プラモデル製作。

当時は、車や船のプラモデルを作って自慢している友達もいました。

私も、何度か取り組んでみたのですが、

  • 小さなシールを水に浮かせて貼る。
  • 小さな部品をなくさずに管理する。
  • 割れやすいプラスティックを丁寧に扱う。

ことがとても苦手でした。

結局、どんどんイライラして、不細工な出来栄えの最後を迎えていました。

その後は、親が買ってあげると言っても、決して取り組みませんでした。

そして、50年が過ぎたのです。

そんな私に昔の部下が、数冊の本とともに3Dのクワガタムシの木工パネルを贈ってくれました。

本が好きな私は、すぐに読破。

そして、苦手な、「工作」が残りました。

手をつけずに、そのパッケージを眺めていましたが、せっかくのプレゼントです。

50年ぶりに挑戦しました。

3Dパズル

5枚の木製シートに、プレカットされた部品があり、それを設計図に従って組み立てます。

すぐに割れそうな弱い部品、穴に入らない出っ張り部分。

昔の記憶が蘇り、少し、「イラッ」としました。

しかし、流石に半世紀も経てば、忍耐力も育っていました。

苦労しながら、少しずつ形が出来上がってくると夢中になり、あっという間に3時間が経ちました。

そして、完成した時の充実感は、この療養生活で一番でした。

3Dクワガタムシ

これで治療もうまくいきそうです。

メンタル充電100パーセントです。

学童期に苦手であったものが、一生苦手というわけではないようです。

ということは、挑戦の種が、他にも沢山ありそうです。

「癌」になり、こんなたっぷりの時間を得たことによって得られた気づき。

まさに、人間万事塞翁が馬です。

 

今回はここまでにします。

次回をお楽しみに。

 

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