鼻の癌について

癌を生きる(21) 奇跡

支払いを済ませ、病院関係者にお礼の挨拶をし、帰途につきました。

毎日当然のように、見ていた錦江湾も開門岳も、今日が最後かと思うとしんみりとなりました。

人間の感覚は不思議なものです。

たった、ひと月半前は、非日常で珍しかった風景が、馴染み深い日常のものになるのですから。

あとは、久しぶりの自宅に向かうだけでした。

しかし、とんでもない奇跡の出来事が起こったのです。

始めから読む方はこちら

癌を生きる(1) 癌の発見のきっかけ令和3年5月20日に「鼻腔癌」だと診断されました。 まさか、自分が癌だなんて思ってもいませんでした。 しかし、なってしまった...

前回を読まれる方はこちら

癌を生きる(20) チーム医療と治療結果いよいよ治療最終日を迎えました。 ここに来れて治療を受けることになったのは多くの方々のおかげですが、この場所でも多くの人に支えてい...

説明のできない奇跡

鹿児島から帰る途中、以前お世話になったA氏を急に思い出しました。

そして、ずっと頭から離れず、落ち着かなくなったのです。

治療を終えたらまっすぐ帰るのが普通でしょう。

なにしろ、私の顔ときたら赤く腫れているし、鼻血も鼻の穴を防ぐほど固まったような状態なのですから。

しかし、どうしても立ち寄りたいという気持ちが高まってきて、車を脇に止めて、久しぶりにA氏に電話をしました。

多分、数年ぶりだったと思います。

「お久しぶりです。今、鹿児島からの帰りですが、ちょっと寄っていいですか。」

「どうぞ、どうぞ、待っています。」

という感じで連絡もすぐについて、立ち寄ることになったのです。

ご自宅の駐車場のところに出てきていただいたA氏に

「なぜ、鹿児島からの帰りなの?出張?温泉?」

と聞かれた私は

「実は、鼻腔癌になっていて、今朝、最終治療が終わったところなのです。」

と説明をしました。

A氏は、驚いた表情で、私を自宅に迎え入れると

「実は、俺も鼻の奥の癌になっていて、鼻が詰まって、来週、医大で組織の検査入院をすることになっている。」

と言うではありませんか。

症状も全く私と同じで、別に痛いところはないし、鼻詰まりが気になる程度のようです。

 

奥様も含めて3人で唖然としました。

鼻腔癌で治療を終えた私が、数年ぶりに訪ねた知人が鼻腔癌だったのです。

その後、私は、治療の進め方などを説明し、互いに励まして別れました。

 

科学で説明できないことが、やはりあるようです。

帰る途中で私に起こった抑えることのできないザワザワ感。

別に今回でなくてもできた数年ぶりの再会。

奇跡の一致。

 

本当に人の世は不思議です。

私の心を動かしたsomething greatの正体はわかりませんが、

こんな予測不能で説明不能なことが起こるから人生は楽しいのかもしれません。

今日は、ここまでにします。

次回は、職場復帰当日のドキュメントを紹介します。

次回はこちら

癌を生きる(22) 復帰退院の日に知人との奇跡の再会を果たし、次の日は郵便物の整理や銀行などの支払いを済ませ、その翌日に職場に復帰しました。 その間も奇跡...

 

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA