大人の責任

大人の責任(34) ラインナップを整理をしよう

年度末になり、仕事が次から次に襲ってきます。

校長としての経験も積み重なっているはずなのに、効率的な仕事になっていません。

老化でしょうか?

そうは思いたくありません。

世の中が忙しくなってしまった気がします。

要点化されていない大量の資料が、毎日これでもかと言うくらいに学校に届きます。

たしかに、PDF化されたデータは、内容の詳細までわかります。

しかし、それを隅から隅まで読んでいては、仕事になりません。

もっと効率化しなければ、日本人の生産性は上がらない気がします。

そんなことは誰もが感じているはずなのに、データの波が年々大きくなっています。

私は、その原因はアリバイづくりだと思っています。

誰かに責めらないためです。

アップアップの教育現場

教育現場には、◯◯教育が突然やってきます。

「がん」に対する偏見が問題になれば、がん教育

カード破産が問題になれば、金融教育

それに加えて

人権教育、交通安全教育、環境教育、情報教育、消費者教育、・・・・

なんでも、「教育」がついてきます。

これからも社会で問題が顕在化すれば、◯◯教育と名がついて学校にやってくるはずです。

とにかく子供たちに失敗をさせない教育のオンパレードです。

「子供たちが将来困っていいのか?」

の責めに対するアリバイです。

とても無理があります。

子供たちが将来出会う全てもトラブルを予想して、◯◯教育のラインナップを完璧に準備することはできません。

教育の1番の役割は「問い」を持たせて、トラブルを解決する力をつけることです。

それなのに世の中の課題を次々に大人が教えて、子供たちの力を奪っています。

優しいようで、優しくないのです。

 

しかも、そのラインナップ自体全てを学校だけでやるべきかも疑問です。

例えば、学校でいくら交通安全教室をしたとしても、家庭でそれがなされていないとしたらどうでしょう。

こんな場面を想像してください。

場面設定 夕方の仕事を終え、息子のノートを買いに車で出かけた親子

母親「急いでスーパーでノートを買いましょ。夕飯の支度もあるからね。」

息子「ごめんなさい。休みの時に買っておけばよかった。」

母親「仕方ないわね。とにかく急ぎましょ。」

息子「お母さん、今の信号は黄色だったよ。」

母親「いいの、今は急いでいるんだから。」

よくありがちな光景です。

人は聞いたものより、経験したものが記憶に残ります。

学校でいくら交通安全教室をしたとしても、これでは建前しか学ばなかったことになります。

建前だけを学ぶなら学校の価値は下がります。

学校でのラインナップは見直すべきです。

いまのままだと、◯◯教育に押しつぶされそうです。

 

「忙」は「心」が「亡くなる」ことです。

教える先生の心も、学ぶ子供たちの心も大切にし、どんと構えた教育をしたいものです。

 

退職まで、あと1週間。

 

今回はここまでにします。

次回をお楽しみに。

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