昔、4コマ漫画で
- 保護者:先生、うちの子が虫歯になっています。困りますよ!
- 教 師:すいません。歯磨きの指導をしっかり、やります。
- 教 師:ところで、お子さんの成績は最近下がってきていますね。心配です。
- 保護者:すいません。うちの子にもう少し塾での勉強を頑張るように言いますね。
といった失笑してしまうものがありました。
最近の学校は家庭の躾まで期待されている節があり、ますます大変です。
しかし、多くの保護者が学校に期待しているのは子ども達に確かな学力をつけることです。
ただ、学校の多くは、平均より下の理解度の子ども達を救うために、非常に効率の悪い指導のシステムに陥っています。
平均より上に合わせるシステム
全ての子ども達が学ぶ権利があるのですから、平均以下の子供を置いていくわけにはいけません。
そんなことをして自己肯定感のない大人ばかりになっては、社会としても停滞します。
しかし、平均以上の子ども達は、待ちの時間が多くなり、授業が全く魅力的でなくなります。(内職をしたくなります)
最終的には個別に最適化したものを学ぶのが理想ですが、平均以下に合わせた授業は非常に危険です。
今年の箱根駅伝は駒澤大学が見事に優勝を飾りましたが、彼らの練習での目標タイムはチームの平均以下にして練習することはないでしょう。
平均以上のところに頑張ってついて行かせる、そういう負荷のかかった練習がチームを伸ばしています。
個別に課題を設定する
大学入試でも、小中学校の全国学調でも、単に過去問をやるだけで伸びる訳はありません。
伸びる生徒は、過去問で自分の苦手分野や単元を見つけて深い理解をするよう努力します。
そんな子にとって、一斉に全ての過去問をやらせるのは意味がありません。
病気で言えば、咳、くしゃみ、熱、だるさ、悪寒など症状別の薬ではなく、総合感冒薬をやっている感じ。
なんとなく効くかもしれない薬(過去問)をやっているのは、効率的ではないし、自ら考える力は育ちません。
教師ができることといえば、しっかりと論理に基づいた学習の積み重ねをさせることです。
もし、「過去問を解け」とだけ言っている教師がいたとしたら、素人です。
記憶できる仕組み
小学生では、算数の学習で時間の概念が定着しないことがあります。
世の中は10進法なのに、時間は60分で1時間だったり、24時間で1日だったりしますからね。
大人は当たり前と思っても、概念のない子供に一発で定着させるのは無理なことです。
ですから、1年に1回しか出てこない時計の学習を1年間ほったらかしてはいけません。
定期的に思い出させる仕組みを宿題プリントや授業に忍ばせる工夫が必要です。
忘れるのは子供のせいではありません。
教師の仕掛けが素人だからです。
人間の記憶力は小学生でも東大生でも大して変わりません。
脳は忘れることが得意なのです。
しかし、何度も出てくると思い出しやすくなり、定着するのです。
次の日、3日後、1週間後、2週間後と思い出させればバッチリです。(携帯電話番号は7回ほど問われたら覚えるそうです)
力を高める仕掛け
また、力をつけるには、問いの難易度を変えてあげることが大切です。
東京大学の池谷教授の実験では、面白いものがありました。
1m離れたゴミ箱にゴミを投げ入れる訓練をした人と、1m,1.5m,2m離れたゴミ箱に投げ入れる実験をした人が、1m離れたゴミ箱に投げ入れる正確さを競った実験です。
1週間後の競争では結果は変わりませんでしたが、1ヶ月後は後者の方が圧倒的に成績が良かったそうです。
ここからも同質の簡単なことだけやっていても力がつかないことがわかりますね。
昔ながらの、誰をターゲントにしたかどうかわからない授業や学びのシステムでは子供達がかわいそうです。
こういったことを学校ではマネジメントしなければなりません。
今回はここまでにします。
次回をお楽しみに。