新年度の組織を始めるときの1番の鍵は、職員に当事者意識を持たせることです。
さまざまな目標や計画が、自分の理解を超える速さで説明される時間が続くと、どんなに優秀な人でも当事者意識よりも心理的な不安が優ってしまいます。
だからこそ、何を1番の物差しにするかを分かりやすく伝えないければなりません。
あの激動の幕末でさえ、坂本龍馬は船中八策を明治政府は五箇条の御誓文を示しました。
目標は伝えられた人が分かるように簡潔でなければならないんです。
ダラダラと長い説明がうまくいかないのは、当たり前。
理解できない側ではなく伝える側に改善の余地があるのです。
ところが、皆がコメンテーターであり、クレーマー化しやすいこの時代は、そうも言ってられません。
結果、ちゃんと伝えたかどうかのアリバイづくりのために、政府の出す文書も1、2枚ではなく、厚さ1cmくらいの文章量になっています。
それは、学校でも同じです。
以前に比べて、微に入り細に入りの文書が増えています。
しかし、これをやられると学校からの文書をもらった保護者は困ってしまいます。
先生方も、伝えるプロであるのなら、作家の井上ひさし氏が言っているように
「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」
伝えて欲しいものです。
イーロンマスクの伝え方
最近、Twitterを傘下に収めたイーロンマスク氏が、初めて出社した時のメッセージが分かりやすくて面白かったです。
流し台(sink シンク)を持って会社に入ると言うことは、sink inとなります。
これは、やり通すと言う意味ですから、変革を途中でやめないということが社員にも十分伝わったでしょう。
ちょっと怖いですね。
この後社員の大量解雇やリストラが、日本では考えられないスピードで進んだのですから。
しかも、英語の慣用句に
everything but the kitchen sink(動かせない台所の流し台位以外は全部変える)
というのがありますから、流し台(シンク)まで外して会社に現れると言うのが、大変革の予言でもあり、社員は戦々恐々でしょうね。
私の工夫
もちろん、こんなにシニカルで分かりやすく伝えることなど、私には無理です。
私は、自分が大切にしたい7つのことを分かりやすくパンフレットにし、4月最初に全職員に配りました。
そこで、グループワークの始まりです。
- 自分が特に気になる柱を一つ選び、同じ柱を選んだもの同士でグループを作る。
- その柱を選んだ理由、課題意識、自分ならどんな取り組みができそうかを紹介し合う。
- 全体に紹介する
- 次に気になった柱でグループを作り、同じ手順で繰り返す
- 3つ目に気になった柱でも繰り返す
これを3回繰り返すことで、校長が大切にしたいことを理解できるだけでなく、自分なら何ができるかを最初から考えるのです。
つまり、当事者になる
子供だけではなく、大人でも聞いてばかりの会議はつまらない。
なぜなら、当事者ではないからです。
いかに、当事者意識を持たせるかは4月当初を迎えるまでの準備と工夫にかかっています。
いい加減に、空虚な4月をやめにしましょう。
今回はここまでにします。
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