リーダーに必要な力

リーダーに必要な力(9) 価値を生まないもの

電話が鳴り、社員は忙しく立ち回り、あちこちで簡単な打ち合わせが行われれている風景

一見すると活気があって、前向きな職場と感じますが、本当にそうでしょうか?

見せかけの仕事

忙しそうにしていたとしても、そこに付加価値が生まれなければ、働いたとは言えません。

仕事ごっこです。

この最たる例をいくつか考えてみましょう。

探す時間

忙しそうに棚や引き出しのファイルを引っ張り出して、書類を見ている。

廊下を小走りに走って、倉庫や事務所を行き来して、汗をかいている。

はたから見れば、どちらも一生懸命で、評価しやすい光景です。

しかし、このどちらも何かを探している時間だとすれば、何も付加価値を生みません。

まだ、仕事が始まっていないとも言えるでしょう。

そうであるなら、探さなくて良い仕組みを作るしかありません。

5Sの考え方に、整理、整頓、清掃、清潔、躾というものがありますが、探さなくて済むには、この考え方を組織で共有した方が良いと思います。

個人のファイリングのルールではなく、組織共通のルールにすれば、万が一担当が休んでいる時にクライアントからの問い合わせが入ったとしても対応できます。

最近は、共有のデータ管理ができるようになっていますが、その整理方法も共有していなければ、「探す」時間が増えてしまいます。

探している状態は「動く」、付加価値を生んでいる状態を「働く」と考えると、探す時間はできるだけ減らしたいものです。

待つ時間

自分の責任でなくても待たなければならない時間があります。

例えば、会議の始まりに担当者の資料が間に合わなかったり、ある担当の調査データが遅れて集計できなかったりする時間がそれです。

前者のミスは、大勢を巻き込みます。

それぞれが都合をつけて集まっているのに、会議資料待ちになり、10分待たせると、10人の会議であれば、100分も無駄な時間となります。

また、後者のミスは、集計できない状態で待たされてしまい、分析や手立てを考えることを先延ばしにしてしまいます。

決められた時間を守らなければ、見えない場所で、無駄な時間が流れることになります。

移動する時間

これまでは、会議室があって、そこで会議をするのが普通でした。

社内の会議室であっても、社外の会議室であっても、移動する時間が必要でした。

一回の移動時間は、数分から場合によっては数時間。

全国規模の研修会では、一日がかりの移動も当然でした。

しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴いオンラインが、移動時間をなくしてくれました。

同じ職場内で、オンラインを生かして違う会議に参加している光景も珍しく無くなってきました。

すべての会議をオンラインにすべきだとは思いませんが、実に効率的な世の中に変わってきました。

この流れで、自分の仕事での移動を考えてみようと思っています。

国全体を考えれば、無駄な人間の移動が経済を活性化する側面もあります。

また、人間の成長は多くの人に会うことに支えられています。

ですから、仕事以外の移動はこれからも重要だと思っています。

 

探す、待つ、移動する時間を減らすだけでも、働き方改革は進みます。

これに手をつけずに働く時間を減らす働き方改革は、頓挫するのではないでしょうか。

 

会社でも、家庭でも、ルールを作って「探す」「待つ」を減らす努力を強いるよりも、面白がってアイデァを出せるといいですね。

今回はここまでにします。

次回をお楽しみに。

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