社長や理事長が頭を下げて、謝罪する映像をよく見ます。
最近は、日本ハムファイターズの中田選手の件で栗山監督が、オリンピックの弁当廃棄の件で橋本会長が深々と頭を下げ ていました。
それぞれに言い分はあるのでしょうが、トップの謝罪は一時的な幕引きを意味します。
危機管理の最初のチャンス
様々なトラブルは、目の前の事実は同じでも、サービスを提供する側とされる側の解釈の違いから起こります。
何の躊躇もなく、電話をしたり尋ねてきたりする人は希であり、大抵の人は何度も逡巡して電話などの行動を取るのだと思います。
何度も逡巡しているのあれば、責任ある立場の人が対応するのは当然です。
なぜなら、管理職が出ていくことで「この問題は、きちんと捉えています。」というメッセージになるからです。
社長の知らない問題として相手に認識されると、
「この会社は、私のトラブルを、そのくらいの小さな問題と捉えている。」
と理解されてしまうからでもあります。
問題が解決しようがしまいが、連絡してきた人の深刻度と同じように組織も捉えていることを示す最初のチャンスです。
このチャンスを逃してしまい、何日後かにやっと管理職が出てくるとなると、遅れた理由を説明しなくてはならなくなり問題が複雑化します。
対立から協調へ
学校を例にすると、もう一つの意味が大切になってきます。
それは、保護者と担任の関係を守ることです。
生徒の態度について、担任から保護者に言いにくいこともあります。
担任から言いにくい場合は管理職から保護者へ説明することが有効です。
管理職からの言葉なら保護者も聞き入れやすいためです。
言葉を聞き入れてもらえれば保護者と担任が協調関係になり、 生徒の態度改善についてに協力を求めやすくなります。
私はこの構図を作りたいのです。
さて、管理職が、両者が納得するための善後策を示すには、保護者が持っている情報量を圧倒的に上回る情報が必要となってきます。
聞かれる度に、どうなっているのかを担当に聞いているようでは、真剣に問題に向き合っていなかったと証明するようなものです。
そんな管理職の話で納得の道筋をつけられるわけがありません。
ですから、管理職は個別の情報(その問題の経緯)はもちろん、関連の情報(その子の日常、これまでのトラブル、保護者の考え)も知っておく必要があります。
そういったことを分析し、 対応してこそ、よい方向を一緒に目指せるのだと思います。
大切な伝達
また、管理職に伝えたくない情報は特に大切です。
そこがはっきりしなければ、不誠実でもあります。
さらに大切なのが、その後の情報です。
なんとか保護者の理解を得られたとして、その後どうなって いるのかが分からなければ、一時凌ぎを繰り返します。
昔、浅間山荘事件があり、赤軍派が立てこもった山荘の奪還と犯人逮捕の矢面に立ったのは、今は亡き後藤田正晴氏でした。
その事件が発生して何日目だったかは知りませんが、指揮系統のトップだった彼が激高したのは、部下が、その日の報告をしなかったときでした。
部下は「特別、変わったこともなく、動きがなかったので報告しませんでした。」
と弁解したのに対して、後藤田氏は
「何も変わったことがないことが、大切な情報だ。」と諭したそうです。
今回はここまでにします。
次回をお楽しみに。
次の回を読まれる方はこちら
前の回を読まれる方はこちら
はじめから読まれる方はこちら