東京オリンピックでは、連日、日本人選手の活躍が紹介され、アスリートの努力に励まされました。
ステイホームを楽しんで、ドキドキの時間を過ごせました。
映画やドラマは、だいたい結末が分かりますが、スポーツは本当に筋書きのない物語です。
体操の内村選手やバドミントンの桃田選手などは、ドラマなら金メダルのはずですが、現実は冷徹なものでした。
だからこそ、その事実を突きつけられた選手の振る舞いに、さらに感動するのかもしれません。
一番の人間ドラマを見せてもらいました。
ところが、TVは、オリンピックが及ぼす新型コロナウィルス感染拡大を責める一方で、選手の頑張りを讃えたりと、対応が混乱しました。
開催が危ぶまれる中で、壊れそうな心のバランスをとりながら、開催を信じていたアスリートの気持ちを考えると、無責任なマスコミに腹も立ちます。
しかし、アスリート達は私などと違って、孤高の戦士であり、戦いそのものの感想を後にして、開催されたことに感謝の気持ちを表してくれています。
私からすると、こちらの方こそ感謝の気持ちを表したいところです。
さて、メダルラッシュに湧く中、リーダーの振る舞いを考えてみます。
補欠選手への声かけ
サッカーや野球のようなチームスポーツでは、必ず、ベンチを温めるだけで終わる選手がいます。
勝っても負けても世間からあまり注目もされませんし、コーチからの声かけも少なそうです。
レギュラー選手は、対戦後のインタビューでコメントする場を与えられたり、コーチに感謝されたりするのに対して、その存在はまるで影のようです。
しかし、指導者が一番大切にしなくてはならないのはベンチ選手だと思います。
例えば野球の先発投手は、100球をめどに投げます。
強い緊張感の中、完投など考えずに全力で投げ込みます。
それは、後に控えている投手がブルペンで準備して待っており、自分がもしダメな時は救ってもらえる環境があるからです。
ピンチになればブルペンは忙しくなり、継投の可能性のある選手は肩を作ります。
ピンチは突然ですし、何度でも起こりますから、控えの選手はとても大変です。
しかも、せっかく肩を準備しても、起用されずに終わることもしばしばあります。
ですから、試合後に一番声をかけなければならないのは、打者も含めた補欠の選手達ではないでしょうか?
「いつも、君がしっかり準備してくれたから、出場組が頑張れた。」
お立ち台に上がることのない選手を、どう評価するかがとても大切です。
サッカーにしても同じです。
近年はデュエルと言って、1対1の強さを求められています。
前後半合わせて90分間、気持ちを切らさずにデュエルをするなんて考えられません。
試合後半になれば、選手の中には、筋肉疲労を起こしたり、つったりする場面も多くなります。
そしてそんな緊張の場面でも、ベンチでしっかり準備を繰り返して出番を待つ選手がいます。
その準備が生かされて、交代してピッチに立てる可能性が低いにも関わらずです。
そのおかげで、試合に出ている選手たちは、
「自分の足がどうなってもギリギリまで頑張ろう。仲間が準備してくれていて、いつでも代われるから。」
と考えて、見事なパフォーマンスを見せることができるのです。
そうであれば、コーチが評価すべきは、このベンチの選手たち。
「君たちの準備のおかげで、ピッチの選手が全力で戦えた。ありがとう。」
この声かけがあるのか、ないのかで組織は、強くも弱くもなりますし、互いを尊敬するチームになれると思います。
目立たないところを頑張って支えている人への声かけ
リーダーの大切な仕事です。
今回をここまでにします。
次回をお楽しみに、
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