リーダーに必要な力

リーダーに必要な力(12) 指導者の覚悟

人には個性があり、興味も得意なことも千差万別です。

みんな頭が良くて、すぐにピンとひらめいて、優しくて、ハキハキしていたら、すごい集団のようで実は脆(もろ)い集団かもしれません。

ラグビーのチームなどを見ると、

  • 力の強い人
  • 足の速い人
  • 体の大きさを利用してぶつかるのが得意な人

など、違いを生かして成り立っています。

これは、特別なことではありません。

法隆寺の材料

日本最古の木造建築で有名な法隆寺に使われている木材も、適材適所で使われています。

すなわち、

  • 建物の南側で使う木材→よく日の当たる南側斜面
  • 建物の北側で使う木材→日の当たらない北側斜面

からそれぞれ切り出されたものなのです。

使われる場所を無視して使ってしまうと、ゆがみが出たり傾いたりして、千年の風雪には耐えられないと言うのですから、不思議なものです。

この見方をして、会社や学校を見てみましょう。

似たところがたくさんあります。

日の目を浴びて目立つ人と目立たないけれども確実に支えてくれる人がいて、初めて成り立っています。

そうなると、北側斜面の人たち(目立たないけれども、しっかり支えてくれる)が愛おしく感じます。

 

人は年齢や役職など、様々な場面で、南側になったり、北側になったりするでしょうが、成長のためには両方の立場の経験が必要です。

互いを慮ることができ、人としての花が咲くと思うのです。

成長の当事者は本人でしょうが、指導者の覚悟で結果が変わります。

0(ゼロ)にするのは指導者

以前、柔道全日本男子ジュニアヘッドコーチ大迫明伸さんの話を聞く機会があったのですが、彼はこんなことを強調していました。

スポーツの世界では、高校生までの指導者の影響は大きいです。

単に勝ちにこだわる指導者につくと欧州型柔道を身につけてしまい怪我にもつながります。

たとえば、全中の選抜メンバーにブリッジをさせても3分の1は出来ませんし、回転ブリッジに至っては2分の1も出来ないのです。

首回りの筋肉を鍛えない基礎力しか持たずに、応用編の技をやっても仕方ありません。

よく、高校の監督が、「中学までについた癖は直らない」と言いますが、大学の監督は、もっとその癖を直しにくいし、オリンピック強化監督はもっと直せません。

人のせいにせず基本をしっかり教える気概が指導者には必要なのです。

成長期の生徒は、投げ出したり、諦めたりすることもあります。

子どもの可能性は、ゼロではありません。

ゼロに近くてもゼロではないのです。

ゼロにするのは、指導者が諦めたときなのです。

あきらめの姿を見せなければ、選手がよい意味で指導者の予想を裏切り、大きく化けることもあるのです。

ですから、選手に対する愛情、競技に対する情熱、育成に対する忍耐力が大切なのです。

 私は、それまで諦めが入ることがありました。

本当は伸びる人を0(ゼロ)と考えてしまった気もします。

人には、それぞれ花時があります。

そして、それぞれの花を咲かせます。

 

今回はここまでにします。

次回をお楽しみに。

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