鼻の癌について

癌を生きる(36) 乾く鼻

癒着を防ぐために、1週間に2回の頻度で鼻の詰め物を交換していた時期は過ぎました。

おかげで癒着は止まり、やっと普通通り息ができるようになりました。

鼻毛の生えてこない私にとっては、冬の空気は冷たくて、直接吸うと痛い感じもします。

鼻毛さえ生えてくれれば、こんな気分にはならないのにと思っていたら、粘着性のある鼻水が絶えず出て、固まるのです。

自分では、頑張って鼻うがいをするのですが、効果は一時的。

癌の再現は見られないものの、正常の状態にはまだ遠い。

呼吸をするたびの違和感や痛さは、病を忘れさせてはくれません。

生きてこそ

しかし、癌治療をしなければ、骨まで犯されていた私の状態は、今頃次の段階になっていたでしょう。

今は再発を心配しながらも、心の奥底で生き延びれる確信は持っています。

ただ、人間とは欲深いもので、よりよい状態を自分の普通と考えてしまうようです。

「治るはずだ」

「もっと、楽になるはずだ」

と思って生活をしていると、足りないところを悔やんで生きている感じがします。

そうではなくて、

「自宅で生活ができる」

「自由な生活だ」

と考えて生活すれば、感謝しながらの生活になります。

人生は、文句ばかりを口にして終わるのではなく、感謝を口にして終わりたいものです。

自分の体の状態はどちらも同じ。

せめて捉え方だけでも変えなければ、心が弱ります。

病んでこそ

私は2つの大病を経験しなければ、病気の人に優しい言葉をかけられる人間ではありませんでした。

病を得た時の不安感や焦燥感、不便さや痛さ苦しさは、当人でなければわからないものです。

日常の中で、職員が

「校長先生、体調はいかがですか?」

と声をかけてくれます。

たった数秒の気遣いの言葉がいかに有難いことか。

本当は、校長である自分が、職員にその言葉をかけなければならないのに。

気にしてもらっているのは、結びつきも感じます。

私こそ、気にしてあげなければと、声をかけてもらうたびに思います。

 

というか、職員に声をかけてもらうほど見た目が弱っているのかもしれません。

凛としなくては。

 

今年を表す漢字は「金」だとか?

東京オリンピックのメダリストも偉いけれど、あなたも私も偉い。

私は、自分に「我慢」の金メダルをあげます。

この一年、不安感や違和感の中で前を向いて生きました。

できるだけ人に心配をかけないように虚勢も張りました。(心配をかけたけど)

今日はクリスマス。

サンタさんが、それぞれの金メダルを準備しているはずです。

 

今日はここまでにします。

次回をお楽しみに。

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