鼻の癌について

癌を生きる(32) 鼻と花

とりあえずの退院で、学校に復帰しました。

部下が気を利かせ、書類は山積みになっていません。

校長室は整然としています。

人の気持ちは見えませんが、気遣いは見えます。

10年前の東日本大震災の時に、

「思いは見えないけれど、思いやりは見える。」

とCMが流れていました。

どんなに優しいことを考えていても、心配していても、行動に移さなければ何も思っていないのと同じです。

私は、形になった気遣いや思いやりに気付き、有り難くなりました。

そんな中、サプライズがありました。

最初から読む方はこちら。

癌を生きる(1) 癌の発見のきっかけ令和3年5月20日に「鼻腔癌」だと診断されました。 まさか、自分が癌だなんて思ってもいませんでした。 しかし、なってしまった...

前回の話はこちら。

癌を生きる(31) とりあえず退院水曜日に手術をし、木曜日は全く使い物になりませんでしたが、金曜日には回復。 土曜日の午後には、お風呂にも入れました。 と言っ...

気持ちを明るくする花

校長室に、きれいにデコレートされた花をもって、教頭が入ってきました。

「校長先生、職員みんなからのプレゼントです。」

色とりどりの花は、一瞬で部屋を明るくします。

昨日までの病室は、花とは無縁な世界でしたから、その違いが際立ちます。

万全でない体調も、一気に励まされてエネルギーで満たされました。

花の中のメッセージカードは

「お帰りなさい」

とありました。

帰ってくる場所があることは、こんなにも嬉しいことかと、胸も熱くなりました。

続いて第2弾

午後になると、小学校の先生方が大挙して校長室にやってきました。

若い先生が、大きな花を持っています。

「退院おめでとうございます。」

と皆に言ってもらいました。

こうも優しくされてしまうと、自分のこれまでが恥ずかしくなります。

自分は、スタッフを100%で想っていただろうか?

愛していただろうか?

全力で恩返しをしようと決意しました。

相手にとって痛いことも伝えることが、恩返しです。

 

人間関係が崩れるのを恐れて、本人の良さを損なっている要素を伝えずに曖昧にすることもできます。

表面的な付き合いが平穏に続くことを望めば、人の嫌なことは言わずにおく方がいいかもしれません。

つまり、放っておくといくことです。

これは愛情ではありません。

「傍若無人」の状態です。

つまりは、とても冷たい状態です。

なにしろ、傍(かたわ)らに、人がいないが如しなのですから。

つまりは存在を無視しているということ。

 

この逆は、軋轢や誤解も生まれます。

解決できない人間関係も危惧されます。

本当に覚悟が必要ですが、それが私の愛情だと自分を励まし、すすむことにします。

空に星があるように、地には花があり、人には言葉があります。

星が煌めく時間があるように、花が咲く時期があるように、言葉にも「その時」があるはずですよね。

 

今回はここまでにします。

次回をお楽しみに。

次回はこちらから

癌を生きる(33) 再癒着陽子線の治療が終わって、4ヶ月が経ちました。 そして、鼻腔奥の癒着や骨を取る手術をして一月が経ちました。 そろそろ、普通に戻...

前回を読まれる方はこちら

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初めから読まれる方はこちら

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