鼻の癌について

癌を生きる(27) 行ったり来たり

今日は、陽子線の治療後3ヶ月が経過して、病巣がどうなったかを目視ではなくCTで検査をする日でした。

今日までを振り返ってみれば、かなり節制をして乗り切った陽子線治療でした。

また、治療後も陽子線による火傷のケアなど、ズボラな私としては頑張った日々でした。

これですべてうまくいけば、物語としては良いエンディングです。

 

昨夜の午後九時からの絶食で、今日を迎えました。

準備は万端です。

しかし、少しは不安があったのです。

ずっと、鼻が詰まっていたからです。

しかも、半端な詰まり方ではなく、全く空気が通らない状態でした。

水を飲むと息ができずに溺れたような感覚になり、夜は息ができずに目が覚めることが多かったのです。

泣き笑いの結果

CTの結果から、右鼻腔に癌の再発は見られませんでした。

まずは一安心です。

しかし、アレルギーの状態でした。

陽子線によって鼻腔内の鼻毛が無くなったことで、鼻腔内は乾燥してしまい皮膚も荒れたために、アレルギー症状が出たようです。

担当医曰く、「この状態は、ずっと続くかもしれませんね。」

治療前は、鼻毛が伸びていたら、カットする邪魔な存在だったのです。

その鼻毛が鼻腔内の保湿に貢献していたとは。

人の体に、もともと備わっているものは意味あるものだったのです。

 

そして、最もショックなのは癌ではなかった左鼻腔内が、完全に癒着していたことでした。

鼻の骨も大きく曲がっており、CT画像でも空気の通り道は全くないことが分かったのです。

担当医が麻酔をして、癒着を取ろうと試みてくれましたが、癒着の程度が強くうまくいきませんでした。

 

結局、来週火曜日に入院、水曜日に手術となりました。

全く予想しない結果です。

鼻の骨を除去し、広範囲の癒着を取る手術。

術後の違和感が十分に想像できます。

しかも全身麻酔なので、あの恐怖の尿管へのチューブ導入が待っています。

 

今日の検査をそれなりの覚悟で迎えた私にとっては、「バンザイ!」とは言えない結果、泣き笑いの結果となりました。

多分これからも、こんなことが続くのでしょう。

物事は期待しすぎるといけないですね。

癌の再発がなくて、鼻腔内も処置をして貰えばなんとかなるとおめでたい想像をしていたのですが、運命は次のハードルをちゃんと準備していたようです。

医は仁術

朝8時半に始まったCTや血液検査が終わったのが11時。

医師の診断や治療を受けて入院が決まったのが12時。

その後、再び血液を取り、

  • 心電図
  • レントゲン
  • 尿

と矢継ぎ早に検査を済ませ、入院説明まで聞いて医師の元に戻ったのが午後2時でした。

ずいぶん時間がかかりました。

気の短い人はイライラするほどの時間です。

読書に夢中だった私でさえ、時間を気にしたほどですから。

しかし、それを払拭してくれたのは担当医でした。

落ち着いた物腰。

的確な説明。

患者を想うホスピタリティ。

私よりもずいぶん年下でしょうが、どのようにして彼に、こんな人格が備わったのでしょうか。

自分が恥ずかしくなります。

 

ビタミンの父と言われた高木兼寛は、「病いを看ずして人を看よ」と言っています。

明治を生きた先人の考えが令和の医師にも受け継がれている気がしました。

 

今回はここまでにします。

次回をお楽しみに。

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