鼻の癌について

癌を生きる(25) 癌の消失

陽子線での治療が終わって、ひと月が経ちました。

顔の腫れや焼け具合も少しずつ落ち着いてきて、先月までの癌治療の心身のストレスも薄まってました。

しかし、ふとした瞬間に、

「陽子線治療が、うまく癌を叩いてくれて、腫瘍が確実に小さくなっているのだろうか?」

と心配になることもあります。

陽子線治療は、癌細胞の細胞分裂能力をなくし、脂肪とタンパク質と水にして体に吸収させるものですから、結果が出るまで時間がかかります。

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陽子線治療1ヶ月後の癌細胞

最近は、鼻水に少し血が混ざったくらいの出血になり、ティッシュが少しピンクになる程度でした。

時々、血の塊みたいなものが鼻をすると出ていましたが、水気を含んでいたので、悪い細胞が溶けていっていると勝手に解釈し、その現象を喜ぶ自分もいました。

とは言っても、素人の想像ですから、いざ県病院での診断を受けるとなると、期待半分不安半分でした。

予約した時間での診察が始まりました。

「予想以上に、いい感じですよ」

内視鏡を覗きながら、医師が教えてくれました。

私にわかりやすいように治療前と後の写真を並べて説明をしてくれたので、とても分かりやすかったです。

本物の写真で皆さんに説明するのも一つの手ですが、画像としてあまりにも毒々しいので図で紹介します。

下の図は治療前の鼻の穴をイメージした物です。

鼻の穴自体が赤くただれ、その中に数センチの龍のような細長い癌が横たわっていて尻尾の先が奥まで続いています。

続いて、次の図が治療後のイメージです。

鼻の穴の龍(癌)は消え、皮膚のただれもなくなっています。

 

医師は、続けて次のように説明をしてくれました。

「治療で使える総量は70グレイです。普通は毎日2グレイで35回の治療ですが、あなたの場合は、26回で1回あたりの陽子線量が大きかったですね。」

「普通の治療をピストルに例えると、あなたの場合はライフルくらいの威力で癌を叩いたことになります。」

「それにしても、この速さで、綺麗になくなっているのは珍しいくらい良い感じです。」

「しかし、骨に転移している分が、万一再発したら、外科手術と化学療法になります。」

「陽子線治療で使える総量は決まっていますから、次は違う手法にならざるを得ません。」

 

きれいになくなっていたのは良かったけれど、まだまだ安心はできないということです。

とはいえ、顔を開けて癌細胞を取らなくても、陽子線が、癌を溶かしてくれました。

ちなみに、鼻毛は依然として生えてきません。

ゴミが直接入ってきて、くしゃみばかりしています。

毛根までやられてしまったのでしょうか。

世の中で、鼻毛が生えてくるのを楽しみに待っているのは私くらいでしょう。

次の検査

次は2ヶ月後にCT検査です。

その時は、骨部分も含めて、詳しく分かるでしょう。

 

癌は正しく恐れなければなりません。

データを見て、医師の言葉を理解して、腑に落とすことが大切です。

情緒的に判断してしまうと、暗くなりますから。

 

今回はここまでにします。

次回をお楽しみに。

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