「宇宙戦艦ヤマト」という古いアニメに
波動砲
というのがありました。
デスラー総統率いるガミラスの戦艦を最終的にやっつける必殺の武器です。
私が受けている陽子線治療もそれを思わせます。
巨大な陽子線照射口
癌患者の腫瘍は、場所も大きさもそれぞれ違いますから、照射口の角度は上からであったり、斜めからであったりと調整が必要です。
患者は、部屋の中にある大型冷蔵庫の2倍くらいの照射口しか目にしませんから、ある意味、コンパクトな装置だと想像しますが、実際は全く違います。
患者を治療するの部屋の壁の向こうには、まさに「波動砲」があります。
その砲は、直径は7m前後あり、音を立てずに静かに動き、照射の焦点に合わせます。
その照射のずれは、あっても0.1mm。
すごい精度です。
腫瘍の形や大きさをMRIで特定していたとしても、人間は呼吸もしますから、微妙な動きがあります。
特に内臓系の癌の方は、呼吸によって、ベッドの上で微妙な体の動きがあって、照射場所がずれる心配をするのも当然です。
しかし、照射は呼吸に合わせて、焦点が合うタイミングで行われます。
ですから健康な細胞に照射されるリスクは極めて低いのです。
どんなに固定具で動かないようにしたとしても、ベッドの上での姿勢は微妙にずれます。
私も固定具が頭を包む感覚は、毎日、微妙に違います。
これを、3D的に調整するのですから、さすが先進医療です。
陽子線を作る
鉄砲の形は分かりましたが、その玉(陽子線)をどう作るかが、もっと凄いのです。
下の写真のような直径7mの装置で、陽子を加速させます。
加速させるには、電気と磁石の力を使うようで、その速度は、光の速さの6割くらい。
1秒間で地球を4周する速さです。
誰が、こんなことを考えてくれたのでしょうか。
もちろん、外科的に取り除く医療もロボティクスの発達によって精度を上げています。
どちらが良いかは、患者が選択すれば良いと思います。
先進医療を進めるには
最近、半導体の不足が全世界で騒がれていますが、これまでの車のイメージが変わり、車ではなく、スマホが動いている感じです。
物事が進むのは、既存知と既存知の掛け合わせです。
誰もが知っている自動車とスマホを独立のものとして考えるのではなく、組み合わせて考えているから、すごいことが起っているのです。
ということは、朝から晩まで自動車会社で働き、夜も先輩と飲み歩いて考える同質性の高い日常よりも、自分が日頃属さない集団に混ざることに意味がありそうです。
しかも、違う集団は、日頃の仕事からかけ離れている方が面白い。
これがダイバーシティの考え方です。
このダイバーシティ(多様性)を重視する時に、できれば畑の違う分野、別の表現をすれば、遠い分野と混じることが大切だと思います。
農協に属している人だけで農業を考えるより、機械工学やバイオテクノロジーと結びつける方が、異なる展開も期待できそうです。
そう言ったことを考えると、医学の進歩は、いかに他分野と結びつくかにかかっていると思います。
だって、医術と技術の組み合わせで、波動砲ができたんですから。
今回はここまでにします。
続きはまた次回。
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