手術が決まった私には、いろんな試練がやってきました。
どれも予想外だったので、今となっては語れる思い出ですが、当時はバタバタしていました。
第1の試練ー不眠
鈍頭痛が治り、ひとまず安心したところで、私を苦しめたのは「不眠」でした。
もともとショートスリーパーでしたが、ショートどころではありません。
やっと寝ることができても、時計を見るとわずか30分。
それからは、ひたすら朝を待つだけです。
これは、なかなかの我慢大会です。
周りを起こさないようにトイレに行ったり、本を読んだりしても朝がなかなか来ないのですから。
結局、睡眠導入剤を処方してもらいましたが、不眠は解消されませんでした。
多分、私の不安感が薬の効果より大きかったのでしょう。
すると、劇的な変化が起こりました。
体重がわずかひと月で10kg減ったのです。
体重70kg(身長177cm)が60kgになってしまいました。
眠りが、いかに大切な免疫力の向上になるか、健康を支えているかを痛感しました。
人生の3分の1は眠りですから、その眠りに投資すべきだとも思いました。
家に帰えれたら、ベッドや枕を見直そうと考えたのです。
1日に30分も乗らない車にはお金を惜しまないのに8時間使う寝具を大切にしていないことに気づきました。
もしかしたら、私は車を買っていたのではなく、「見栄」や「見た目」を買っていたのかもしれません。
中身のない私の浅はかさが見えてきました。
第2の試練ー竹輪(ちくわ)に胡瓜(きゅうり)
次の試練が、本当に辛かった試練。
男なら痛さが想像できるはずです。
この脳腫瘍の手術関連で、最大の試練は、「尿管」へのパイプの導入です。
手術後はベッドから動けないのでトイレに行けません。
ですから、この処置をして、おしっこを外に出すのです。
仕組みは、簡単ですし、説明も大した感じではありませんでした。
簡単な料理で、竹輪に胡瓜を入れるものがあります。
この尿管へのパイプの導入も同じことです。
しかし、これには本当に参りました。
ベテランの看護師を期待した私の前に現れたのは、ほぼルーキーの看護師。
可愛い子で、学校を出たてだったと思います。
「すいません。担当の◯◯です。よろしくお願いします。」
と言って、早速の処置が始まりました。
私は、ナスがまま、きゅうりがパパの状態。
とにかく待つのみ。
ところが、いくら待っても、終わらないのです。
「すいません。うまくいかなくて。」
何度も何度もやり直してくれるのですが、そのうち、痛さに耐えきれなくなりました。
悶絶ものです。
本当に大丈夫だろうかと焦るその子を見ながら心配になりました。
そこに、ベテランさんが現れて、
「何しているの?あなたは、処置の説明をするだけだったのよ。」
どうりで激痛が続くはずでした。
ちゃんと先輩の話を聞かなければこんな失敗になるのです。
怒りでいっぱいになった私は、その看護師に
「誰でも失敗はあるからね。」
と心にもないことを言って慰めました。
どうして、おじさんは若い子に弱いのでしょう。
しかし、痛みはそこで終わりませんでした。
手術後の排尿痛が半端なかったのです。
看護師さんを目指す方に言いたいです。
「小中学校の裁縫の実習をサボらないで!その波縫いの技術は後で生きますよ。」
今回はここまでにします。
続きはまた次回。
続きはこちらから
前回を読まれる方はこちら