今回は、「勉強での記憶を維持させるか」、簡単に言えば「いかに忘れさせないか」について考えてみます。
記憶に残さない研修や授業の終わり方があります。
講師(教師)がだらだらのしゃべっていて、最後に
「ここが大切ですので、しっかり覚えといてください。」
で終わるパターンです。
このパターンを繰り返す講師に、未来はないと思います。
きっと、記憶アプリに負けてしまいます。
事実、私は英会話のアプリを使ってますが、大したものです。
熱弁でも…
これは、組織におけるリーダーの話でも同じです。
リーダーがいかに、大切なことを力説したとしても、受動的に聞いてばかりでは記憶が定着するはずはありません。
職場の大切なミーティングでも学校の授業でも、終わりに負荷をかけて終わることが大切です。
熱弁を振るっているリーダー、汗をかきながら話を繰り返す先生。
いくら一生懸命話しても、伝えられる方は自分ごととして考えたり、発表したりすることなく終わることができます。
自分ごととして考えられなければ、その時間が終わったとたんに記憶は薄れていくだけです。
学校の授業のまとめ
効果的なのは、授業の最後の場面でペアやグループを組ませて
- 今日の授業のポイント
- 新しく知った内容
などを互いにアウトプットさせてみることです。
脳科学的には、「授業をすんなり終える場合」と「アウトプットを課す場合」では、定着率が圧倒的に違うそうです。
▼参考書籍
(脳が認める勉強法 原書名 How we learn:ベネディクト・キャリー)
毎日のちょっとした工夫で学びが定着するのであれば、大いに価値があると思います。
では、テキストを何度読んでも、頭に全く残らない子とそうでない子は、脳の中でどんな処理の違いがあるのでしょうか。
- 記憶に残らない読み方・・・意味を考えずに音だけを拾っている。
- 記憶に残る読み方 ・・・意味を考えながら読んでいる。
例えば、国語で言えば根拠を探しながら読む、社会なら背景を考えながら読む、などです。
読みながら「問い」を解決する場合や、「問い」を生む場合は記憶に残ります。
しかし、小中学生が、いつも意味を考えながら読むのは難しいでしょう。
そこで手っ取り早いのが、誰かに教えるつもりで読むことです(ワシントン大学のジョン・ネストイコ博士の実験)。
となれば、授業そのものも誰かに教えるつもりで参加すれば、定着効果が大いに期待できます。
私は、へき地の学校で勤務したときに、とても上手に子育てをされているお母さんに出会いました。
その方は、高校卒業後、家のお手伝いをされていた方で、小学校1年生の我が子に「お母さんは、勉強は苦手だから、学校で習ったことをお母さんに毎日教えてね」と頼みました。
頼まれた女の子は授業の受け方が他の子とは格段に違っていました。
何しろ、帰ってからお母さんに教え直さないと行けないのですから。
もちろん、お母さんは小学校1年生の勉強など娘に聞かなくても分かるのですが、このお母さんの偉いところは、「すごく分かった。また、明日も教えてね」と褒めてもいるし、頼んでもいるところです。
結局、この子は、この学び方を身につけて大きくなります。
もちろん確かな学力を付けながら。
蛍光ペンで大切なところをマークし、覚えようとしても、意味が理解できてなければ、関連情報はシャットアウトされますから、私はあまり薦めません。
もし蛍光ペンでマークさせるなら、友達に「なぜそこが大切か」を説明させて初めて効果が出ます。
私たちは、教えたことをしっかり部下や子供の記憶に残すには、こうした工夫が必要です。
それをしなければ、効果の薄い大量の反復学習で疲弊させてしまいます。
「学びを、いかに刻むか」を考えることはとても大切です。
今回はここまでにします。
次回をお楽しみに
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