自分に癌治療が必要となり、長期で職場や家庭を離れなければならないのですから、周りへの伝え方には悩みました。
私は、この伝え方を工夫してみました。
職場での伝え方
職場では、80人程度の部下がいますが、この一人一人に自分の病状を伝えるとなると少しずつニュアンスや情報が違ってくる可能性があります。
そうなると、噂話で正しい情報が伝わらなかったり、伝言ゲームのようになって、最後は全く異なる話になったりする危険性があります。
では、メッセージテキストやデジタルの掲示板を使ってお知らせするのはどうでしょうか?
私は、その選択に絞ることはしませんでした。
勿論、正確に伝えるためには、テキストが優れています。
人の記憶は曖昧でメモのとり方も千差万別ですから。
しかし、それだけでは私のエモーショナルな部分が伝わりません。
ですから、全職員を集め、ソーシャルディスタンスをとってもらって、説明をした後、テキストを送りました。
私の発する声色、トーン、仕草が、テキストでは伝えきれないものを伝えてくれます。
その雰囲気を味わった後に、テキストを読んで欲しかったのです。
さて、基本的に、アウトプットすると、自分の考えや覚悟が明らかになります。
整理もつきます。
これは、学校での学習でも同じことが言えます。
先生の話を聞いて分かったつもりでも、その分かったことを友達に説明できない時に自分の理解度が分かるのと同じです。
また、リーダーだけには詳しく話をしました。
組織の大小にかかわらず、詳細なイメージや戦略などを伝えることができるのは5人程度です。
あとは、その5人が責任を持って、自分のグループに伝えられるかが大切です。
私の職場は、基本的にフラットな関係で、私に直接伝える手段を確保していますが、全体理解を確実なものにするために、伝え方は、工夫しました。
また、「この人は」という人はピックアップして、私の部屋に呼び、話もしました。
「君に、お願いしたいことがある。」
人は、自分が認められていると感じた時、動いてくれます。
利他の心で、自分のためではなく、他のために動いて、他が幸せになれば自分も幸せになることができるのは人間のよさです。
Jリーグでも、プロ野球でも、子供の運動会でも懸命に応援している姿が示しています。
最後に、職場を支えてくれる非常勤職員だけを集めて、お願いをしました。
「この職場を支えてくれているのは、あなたたちです。しっかり、頼みます」
忘れがちですが、組織にとって、一番の下支えをしてくれる方々が、組織のレベルを示しますし、通常の業務を成立させる大切な要です。
この方達が、大切にされていないと、組織の発展はあり得ません。
つまり
- 言葉では表現できない部分は直接、伝える。
- 後で確認できるようにテキストを送信する。
- 戦略的なものは、リーダーに伝える。
- 育てたい部下には直接伝える。
- 一番立場の弱い職員に伝える。
ことが大切だと考えたのです。
家族への伝え方
家族が大人であれば、詳細を知らせることができますが、子供が学生であると注意が必要です。
大人であれば、年に何回か知り合いの葬式があったり、訃報が届いたりしますから、「癌」や「死」について免疫もあります。
しかし、子供は、まだ世界が狭いですし、「癌」とか「死」が身近なワードではありません。
そのくせ、ネットでいくらでもネガティブな情報を取り出せます。
結局、単身赴任をしている私は、子供に伝えないことを選択しました。
私の治療は陽子線治療であり、これまでと同様、週末は家族に会うペースを変えずに済むからです。
家族の年齢や理解度に合わせた、伝え方が良いと信じています。
嘘にも優しい嘘があるはずです。
今回はここまでにします。
ありがとうございました。
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組織としての情報共有の大切さを感じていたので、勉強になりました‼️