もし、我が子に人生の成功へ道を教えることができたら、教えてあげたいのが親の情愛です。
ところが、この道が、与えることではなく与えないことだとしたらどうでしょう。
与えることの罪
基本的に祖父母は、孫が可愛いですから、孫の笑顔が見たくて欲しがるものを与えてしまいます。
いや、欲しがる前に与えてしまっているかもしれません。
親としては、ハラハラします。
折角、虫歯を防ぐために口腔ケアを頑張っていても、飴やアイスクリームが次々与えられると、心配もします。
虫歯にならないだろうか?
お菓子ばかり食べて晩ごはんは食べられるだろうか?
毎日の生活を共にしていない祖父母は、日常生活の責任は持ちませんから、そんなことはお構いなしにいろんなものを与えてしまいます。
これを、祖父母ではなく、いつもそばにいる親がやってしまうとあまり良い結果は期待できません。
フランスのルソーは、その著書「エミール」で
「子どもをダメにする方法は簡単だ。欲しがるものを全部与えればよい。」
と主張しています。
本当にそうだろうかと、訝(いぶか)しがっていましたが、最近は、確かにそうだと思うことが多いです。
証明された我慢の大切さ
中室牧子氏は、その著書「学力の経済学」で、次の事例を紹介して、我慢が将来に及ぼす影響を説明しています。
これは、外国での実験です。
- 母と4歳児を、ある部屋に呼びます。
- その部屋には、美味しいマシュマロがあります。
- 少し時間が経った時に、「母親が部屋を出て、戻るまではマシュマロを食べてはいけない」という約束を親子でします。
- しばらくすると、母親は、部屋を出て行きます。
研究では、約束を守って母親が戻ってくるまで待ったグループと、自分の欲求に負けたグループのその後の人生を追跡します。
すると、我慢できた子どもの多くが経営者やリーダーになっているのに対して、我慢できない子どもの多くは、そうできていないということが分かったのです。
そこに頭の良さは、関係ないのだそうです。
頭が良くても、自分をコントロールできない子は、成功にたどり着けないみたいです。
この2人の理論から、我慢の価値がわかると思います。
現代社会における子供の我慢
ところが、我慢からほど遠い日常が常態化しつつあります。
昔は、自分が欲しいと思って自分のものになるまで平気で1年かかっていました。
そのタイミングは、自分の誕生日かお正月くらいのものです。
それぐらい待たなければならない我慢の時があると、欲しくてたまらなかった気持ちが冷めてきて、本当に欲しいかどうかを考えることができました。
今では、本当に欲しいかどうかを自分に問う時間は、大きく短縮されています。
なにしろ、1、2ヶ月後には手に入っているのですから。
その理由は、シックスポケット
それは、両親と4人の祖父母の財布を指します。
本当にこれで、「考える」「我慢できる」人が育つでしょうか?
だいたい工夫は、不便だったり足りなかったりした時に生まれるものですから、何も考えさせないのは力を奪うことにもなるのです。
ゲームで遊ぶより手作りの工作をしてゲームを作る方が力になりますが、この方法はすぐに子どもの笑顔は得られません。
しかし、後になって働く力は得られます。
与えない方が力を伸ばす。
親も我慢です。
今回は、ここまでにします。
次回をお楽しみに。
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