アメリカの中学校に視察に行った時のことです。
迎えてくれたのは、「leaders」のロゴが入ったお揃いのTシャツを着た生徒たちでした。
リーダーの資格
普通、外国からの視察を日本の学校が受け入れるときは、大人(教師)が表に立って迎えます。
視察時間を確認し、視察ルートから内容に至るまで事前にチェックをし、タイムスケジュール通りに視察が終わるように配慮します。
ところが、アメリカでは、違ったのです。
「leaders」とは、日本で言うなら生徒会役員でしょうか。
彼らが、自信を持って迎えてくれました。
彼らに、「leaders」の選出方法を尋ねると、
「私たちは、単に立候補して選ばれたのではありません。leadersになるための努力を評価してもらって、選ばれたのです。」
と答えてくれました。
日本であれば、学級ごとの推薦などはもらわないといけませんが、基本的に自由に立候補できます。
しかし、自由の国「アメリカ」は責任感も問われていたのです。
つまり、皆を引っ張るリーダーになるのであれば、日常の生活態度はもちろん、ボランティア活動への参加状況など、いくつかの項目で評価されているのです。
そして、任せられる確証があって、その役につけるのです。
民主主義は、自由と共に責任感が問われるものだとしみじみと感じました。
だれもがリーダーになれるように配慮する日本とは大違いです。
彼らに、なぜリーダーになりたいのかと問うと
「学校として環境について学ぶ取り組みをしていて、その取り組みを発信したいし、他校と連携したいからです。また、こういったお客様の対応も含めて、いろいろな経験もできて、学ぶ機会が増えるからです。」
と答えてくれました。
彼らの話を聞いていると、リーダーになるチャンスは平等、なれるかどうかは努力次第、加えてやりたいことがあるということになります。
私たち日本人は、結果に違いが出ると大騒ぎをしてしまいますが、機会は均等で、結果に違いが出ることこそ、本当の平等だなと中学生に教えてもらいました。
やりたいことがあってこそ
時々、「長」になることがゴールになる方がいます。
あくまでも「長」は手段であり、その手段を使ってやりたいことを組織に浸透されるかが大切です。
やりたいことのないリーダーは、害悪でしかないと思います。
単に前例踏襲をし、チャレンジをせずに、何も問題が起こらないことばかり願うリーダーを作らないような人材育成はとても大切です。
ところが私たちは、リーダーにやりたいことを聞かずに、やらせたいことを伝えて任せることがあります。
こんなことを繰り返していて
「近頃の若者は、指示待ちの傾向がある。」
と口を尖らせるのは、笑止なことです。
となるとリーダーは強い思いを持っていることがとても大切な要素です。
外国の成長企業は面接で、過去にやってきたこと、現在やっていること、将来やりたいことの3つしか質問しないそうです。
もちろん年齢も性別も出身大学も問いません。
年齢を問うてしまうと若い方を採用しがちになるバイアスがかかります。
性別を問うてしまうと、前回は男性を採用したから今回は女性を採用しようとする意識も働きます。
大学を気にすると難関大学を出た人が、全ての能力が秀でていて、強い意欲があるように勘違いしてしまいます。
しかし、社会においては、誰とでも繋がる力やニッチな部分に秀いでた力も求められますから、どんな人生を歩んできて、何をやっていて、何に情熱を燃やしたいと思っているかが重要です。
自分の会社の業務に遠い経験であっても、やりたい思いが化学反応を起こせば、違う分野を成長させたり、開拓したりすることも期待できそうです。
ですから、リーダーの選び方も、採用の仕方も、想いのエネルギーを大切にするアメリカのやり方に学ぶべきことがあると強く思ったのです。
今回はここまでにします。
次回をお楽しみに。
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