1日の治療時間は、待ち時間を含めても1時間もあれば終わりますから、残りの時間の過ごし方が、治療生活の鍵になります。
これは、ピアノのレッスンと同じかも知れません。
レッスン日は、あくまでもそれまでの練習の成果を見てもらうだけで、それまでが大切です。
治療も、診察の時間だけでなく、そこに至るまでの時間の方が大切です。
診察の時だけ、神妙にしていても、病院を離れたところで暴飲暴食をしたり、全く運動をしなかったり、精神が安定していなかったら、治癒は遠ざかる気がします。
苦手な3Dパズルに挑戦
小学生の頃、何よりも苦手だったのが、プラモデル製作。
当時は、車や船のプラモデルを作って自慢している友達もいました。
私も、何度か取り組んでみたのですが、
- 小さなシールを水に浮かせて貼る。
- 小さな部品をなくさずに管理する。
- 割れやすいプラスティックを丁寧に扱う。
ことがとても苦手でした。
結局、どんどんイライラして、不細工な出来栄えの最後を迎えていました。
その後は、親が買ってあげると言っても、決して取り組みませんでした。
そして、50年が過ぎたのです。
そんな私に昔の部下が、数冊の本とともに3Dのクワガタムシの木工パネルを贈ってくれました。
本が好きな私は、すぐに読破。
そして、苦手な、「工作」が残りました。
手をつけずに、そのパッケージを眺めていましたが、せっかくのプレゼントです。
50年ぶりに挑戦しました。
5枚の木製シートに、プレカットされた部品があり、それを設計図に従って組み立てます。
すぐに割れそうな弱い部品、穴に入らない出っ張り部分。
昔の記憶が蘇り、少し、「イラッ」としました。
しかし、流石に半世紀も経てば、忍耐力も育っていました。
苦労しながら、少しずつ形が出来上がってくると夢中になり、あっという間に3時間が経ちました。
そして、完成した時の充実感は、この療養生活で一番でした。
これで治療もうまくいきそうです。
メンタル充電100パーセントです。
学童期に苦手であったものが、一生苦手というわけではないようです。
ということは、挑戦の種が、他にも沢山ありそうです。
「癌」になり、こんなたっぷりの時間を得たことによって得られた気づき。
まさに、人間万事塞翁が馬です。
今回はここまでにします。
次回をお楽しみに。
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