脳腫瘍を克服

脳腫瘍を克服(5) 後遺症を克服

手術は、無事に終わりました。

後遺症も分かりました。

あとは、私自身のリハビリの努力にかかっていました。

眼振対策

微妙に目が揺れているのは、自分よりも他の人がわかります。

どんなふうに映っているのでしょう。

それを改善するためには、ローテクとハイテクが必要でした。

  1. 腕を伸ばして立てた指をゆっくりと動かし、顔を動かさずに目だけで追っかける。
  2. 両目を寄せたり、離したりする。
  3. スクリーンに映った点を追っかける

といったことを毎日、繰り返します。

その成果は、自分では分かりません。

自分が見えるのは自分の目以外だからです。

鏡で見れば良いとも思えますが、両目を寄せたり、ある点を目で追っかけたりしている自分の様子を鏡で見るのは、無理です。

ですから地道に訓練をして、評価してもらうしかありません。

お陰様で、眼振はゆっくりと治っていきました。

人は不安になると、すぐに結果を求めてしまいがちですが、少しずつの積み重ねをすると、Before Afterに大きな差が出てきます。

病気でも、勉強でも、仕事でも、それは同じです。

それが分かっているのに、結果を急ぐ私です。

嚥下(えんげ:食べ物をのみこむ)対策

以前にもお話しをしましたが、普段は何も意識せずに、食べ物を口の中に入れれば、飲み込めます。

ところが、舌の機能が麻痺していると、食べ物はいつまで経っても、口内の前方で動いているだけで、飲み込める場所まで移動してくれません。

対策は、食べる練習と思いがちですが、発音練習です。

正しい発音をするためには、正しく舌を動かなければなりません。

逆説的に考えると、舌が動けば、食べやすくもなるということでしょう。

もしかしたら、赤ちゃんが流動物しか食べられないのは、それと関係しているかもしれません。

お年寄りで、全く歯がないのに食べている人を見ると、そんな気がするのです。

となると、しゃべらないお爺さんより、おしゃべりなお婆さんの方が

食べられる→健康→長生きする

のかも知れません。

ということで、私も発音を練習しました。

しかし、女性の患者に比べて、同性の男性は寡黙な人が多く、コミュニケーションではないただの発音練習ですから、すぐに飽きます。

日頃、どうでもいいようなことをペチャククちゃ話している人をあまり評価していませんでしたが、そのペチャクチャにも意味があったようです。

体幹を鍛える

病院内にはジムがあり、リハビリ環境が整っていました。

柔らかいボールに乗ってバランスを取ったり、まっすぐ歩いたりといった簡単なものから、筋力を鍛えるものまで揃っています。

リハビリをしても、顕著な変化が日常生活の中に現れるわけではないですが、いろいろなものを数値化すると励みにもなりますし、手応えがあります。

何となく雰囲気で評価すると、

「いい感じになってきた。」

としか言えませんが、数値で評価すると

「何%上がった。何秒伸びた。何kg持ち上げた。」

など、はっきりと状態の変化がわかります。

こういった評価の仕方の方が、自分の状態がはっきりします。

 

日本は、情緒で評価することが多い国です。

アンケートも取らないで

「去年よりも職員のパフォーマンスが上がって、いい雰囲気です。」

といった定性的な評価をしてしまいます。

しかし、これでは正確な評価はできません。

数値を用いて定量的に評価をしないと、結果的には、10年前と変わっていないことだって起こります。

 

現在、ジムで体を鍛える文化が定着しつつありますが、定量的な評価をして、自分を見つめることをお勧めします。

 

今回はここまでにします。

続きはまた次回。

 

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