宮崎県出身の歌人に「若山牧水」がいます。
卒業や入学の時期には、彼の作品の
「若竹の伸びゆくごとく子どら等よ真直ぐにのばせ身をたましひを」
がよく使われます。
子供たちに、ぐんぐん成長する若竹のように、体だけでなく心も真っ直ぐに伸びてほしいという親の願いが込められています。
とても正直でわかりやすい歌です。
この歌も良いのですが、私は、昨日の卒業式で、牧水作の
「美しく清き思い出とどめおかむ願いを持ちて今をすごせよ」
を詠いました。
新型コロナやウクライナへのロシア侵攻など、世の中の閉塞感は否定できません。
しかしそれでも、願いをもって明るい未来を信じて、今を過ごしてほしいのです。
自分自身も
式辞を認(したた)めながら、思ったのです。
果たして、自分は願いをもって今を過ごしているだろうか?
子供たちにメッセージを送っていながら、今の自分は本当に未来を見据えているかと。
私は、あと半月もすれば退職します。
多くの校長たちが、教育機関に再就職します。
有難いことに私にも、その話はありました。
しかし、全てお断りをしました。
お話をいただいた仕事は、どれもこれまでの経験や人脈が活かせるものです。
苦労はないでしょう。
数年勤めれば、いよいよ年金生活で人生の終盤を安心して迎えられます。
ただ、人としての底辺が広がらない気がするのです。
よく、「教員は世の中を知らない」と言われます。
コスト意識のない公務員の知っている世の中は、本当に狭いかもしれません。
そこで、私は一念発起し、全く違うビジネスの道に進むことにしました。
効率化が求められ、これまでの教育現場で味わえた感動からは遠い場所です。
しかし、違う分野の人と知り合い、自分の価値観を広げ、見たことのない景色にたどり着けるワクワク感があります。
この話を友人の校長たちにすると
「今まで、教育しかやってこなくて、大丈夫?そんな甘くないよ。」
と心配してくれます。
若手の経営者に相談すると
「あなたならきっと大丈夫、これまでの価値観がひっくり返されるかもしれないけど、面白い世界がありますよ。」
とポジティブに返してくれます。
せっかく生を得て、この世に生まれてきたのだから、新たな道に進みます。
癌を克服してもう少し命をもらったのに、現状に留まるのは勿体無い。
その選択によって、決して会うことのなかった人に出会い、自分が磨かれる気がするのです。
知らない料理、知らない方言、知らない文化が待っている気がします。
とかなんとか言って、1年後は結局うまくいかなくて、どこかの学校の臨時職員になっているかもしれませんがね。(そうならないように頑張りますが)
私の挑戦は、時々お伝えしますね。
今回はここまでにします。
次回を楽しみに。
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